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『人間失格』を読んで思った事。太宰治が今までの生活で感じてきた人間恐怖の集大成。お金持ちでイケメンでも幸せとは限らないのか【本の感想1冊目】

まぶた
まぶた
どうも、チャレンジャーのまぶたです。みなさん読書してますか?今回は太宰治『人間失格』を読んで思ったことを綴っていきます。

はしがき

主人公の葉蔵(ようぞう)は太宰自身とも言われている本作品。

大地主の家庭に生まれ何不自由ない生活をおくる一方で、他人がわからないと「道化」でしか周りの人と接することができない人間です。

幼少期からすんごい苦悩してます。

ひょんなことから白痴気味の同級生に道化を見破られた葉蔵は、絵画の巨匠たちに自分との共通点を見つけ絵描きになると決心。

「女に惚れられる」「えらい絵描きになる」という二つの予言を背負い東京に繰り出すも、生活能力のなさと拒否する能力のなさから次第に酒とタバコと女で金に困っていきます。

そのためバーの女給と心中。

一人生き残り意気消沈する葉蔵ですが、それでも自分を心から信頼してくれる女性と結婚し慎ましく生活を営んでいきます。

少しずつ生まれ持っての人間不信が解消されていくと思いきや、最愛の妻を犯され一気に血の底へ。

薬に溺れ若干27歳にして狂人の烙印を押される葉蔵。

弱い人間の苦悩と苦労が報われぬまま物語は終わります。

この本について

作者情報

作者:太宰治(だざいおさむ)            
時代:1909-1948
作品:『斜陽』『走れメロス』『ヴィヨンの妻』

人間関係に疲れている人にオススメ

一緒にいて楽しい友達も、時としてトラブルやストレスの種になることがありますよね。

家族でも、恋人でも。

学校関係で悩んだり、会社の部署でギスギスしたり。

今の日本、総ストレス社会です。

若者の自殺者が増えたり、耳を塞ぎたくなる様な事件が起こったり、社会との繋がりが上手く取れなかったり。

他人が信じられないなんて誰にだって起こる問題です。

そもそも人間は一人。

社会で生きているとはいえ、結局は一人で生まれ一人で死んでいくのです。

そんな時はこの本をどうぞ。

作者の太宰治と一緒に苦悩を体験しましょう。

読み終わった後のあなたが救われます様に。

死ぬよりも生きているほうが辛い

自分は、これまでの生涯において、人に殺されたいと願望した事は幾度となくありましたが、人を殺したいと思った事は、いちどもありませんでした。それは、恐るべき相手に、かえって幸福を与えるだけの事だと考えていたからです。

この文章だけで葉蔵の人間嫌いが伝わってきますよね。

彼にとって他人と顔を合わせて生活していかなければいけない生きている世界よりも、誰にも会うことのない死の世界の方が心地よい環境だったのでしょう。

生きていれば楽しいこともありますが、やはり面倒なことや辛いこともあります。

相手の顔色を伺って暮らしていたり、周りの評価を過剰に気にしながら生きている人は少なくないのではないでしょうか。

葉蔵はそういうことを人一倍気にかける人間でした。

人付き合いがわからないから道化によってしか他人と接すつことができない。

道化によってのみ相手との距離感をなんとか保つことができる。そんな彼にとって死ぬという事は誰の事も気にしなくて良い自由な自分の誕生でもあります。

このあと葉蔵は二回自殺未遂をしますが、作者である太宰本人も同じように、何度も自殺未遂を繰り返していました。

最後の死因も自殺、ですしね。

酒、たばこ、淫売婦

酒、煙草、淫売婦、それは皆、人間恐怖を、たとい一時でも、まぎらす事のできるずいぶんよい手段である事が、やがて自分にもわかってきました。それらの手段を求めるためには、自分の持ち物全部を売却しても悔いない気持ちさえ、抱くようになりました。

仕事から疲れて帰ってきた後のビールって最高ですよね。

一日の嫌なことを忘れることのできる数少ない時間です。

もちろん葉蔵にとっても同じ感覚はあると思いますが、僕とは比べ物にならないような快感があったと思います。

大人になってからもますます酷くなる人間恐怖は彼を苦しめていきました。

その時に彼を助けたのが酒や煙草、そして淫売婦です。

東京に進出した葉蔵は地元とは比べ物にならないほどの人の多さで辟易していたことでしょう。

住んでいる部屋から出る事はほとんどありませんでした。

しかし悪友堀木とつるむようになってからは、彼に貸した金で様々な遊びを覚えました。

その中でも彼が一番気を紛らわせたのが淫売婦です。

何も考える事はなく、ただ一度の夜の相手。

それはまさに葉蔵の人間恐怖と中和し、その時限定の安らぎをもたらした事でしょう。

後になって彼は「マリアの円光を見た」とも言っています。

何もない相手と、何もない自分。

そこに存在するのはそれだけで、存在する必要もなく存在している。

そんな後腐れのなさが彼の心を癒したのかもしれません。

無垢の信頼心は、罪なりや

ヨシ子が汚されたという事よりも、ヨシ子の信頼が汚されたという事が、自分にとってそののち永く、生きておられないほどの苦悩の種になりました。

人間恐怖で他人と深い関係になる事のなかった葉蔵ですが、自分のことを信頼してくれた煙草屋のヨシちゃん(ヨシ子)とめでたく結婚します。

慎しくも幸せな結婚生活を送っていた葉蔵は、このままいけばもしかして自分も普通の生活ができるのではないだろうかと考え始めます。

それほどヨシちゃんの信頼度は高く、葉蔵の心を暖かく包んでいたのでしょう。

しかしそんな普通の生活も呆気なく終焉を迎えてしまいました。

作家となって細々と食べていた葉蔵の編集者がヨシちゃんを襲ったのです。

ヨシちゃんが相手を疑う事を知らない人間だからこその悲劇でした。

自分が唯一信じる事のできた、自分を唯一信じてくれたよしちゃんの信頼感は、その信頼する気持ちによって失われてしまいました。

ここでの葉蔵の絶望ぶりは読んでいて胸にくるところがあります。

人間らしくなってきていた矢先の出来事でした。

これを機に彼はどんどんと堕ちるところまで堕ちていきます。

最後はヨシちゃんと別れることになる彼ですが、この事件がなければ普通の人間に慣れていたかもしれないと考えると救われない気持ちでいっぱいです。

あとがき

この本は僕が読んだ本の中で一番の作品です。

それゆえに今回初めてとなる書籍レビューに選んでみました。

読み返してみるとなかなかの駄文ですが、この小説自体は日本史に残る傑作で今でも読み継がれています。

現に日本の発行部数のツートップ(もう一つは夏目漱石の『こころ』)を飾っており、たくさんの人に読まれていることでしょう。

先にも書きましたが人間失格は太宰治自身をモデルとした小説です。

だからこれを読んで太宰にハマる人も多いのではないでしょうか。

比較的ページ数も少なく、夏目漱石のように難しくないので、たくさんの人に読んでもらいたいです。

非常にたくさんの名言が書かれており「恥の多い生涯を送って来ました」は太宰を知らない人でも知っているのではないでしょうか。

知らないのに知っているって、なんか不思議な感じがしますよね。でもそれがいいんですよね。

人間失格。

青空文庫でも読めるので、ぜひチャレンジしてみてください。

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